2012年 07月 02日
出版業界用語で言う腰巻に、「結局は、何が正しいのか?」とある。 「どっちが正しいの?」と言い換えた方が判り易いかもしれない。 戦いを繰り広げるのは古今東西の賢人、有名人が表わした相反する格言、名言の類い。 例えば「君子危うきに近寄らず」。 なるほどなるほど、「分別のある者は無闇にリスクを負うような事はしないよな~」、「危険を避けるよな~」と納得してると、正反対の格言が出てくる。 「虎穴に入らずんば虎児童を得ず」。 こちらは「価値のあるモノを手に入れるにはリスクを恐れてちゃあダメだ」と諭しています。 「いったい、どっちを信じたらいいの~?」。 そんな言葉同士を戦わせた『名言vs名言』(思想社)、『グループ・ニヒト』なる執筆集団が著した本です。 酒飲みが言い訳に使う『酒は百薬の長』と対峙させてることばです。 もっとも、『徒然草』は地獄に堕ちる酒を、 かくうとましと思ふものなれど、おのづから、捨て難き折もあるべし 月の夜、雪の朝、花の本にても、心長閑に物語して、盃出したる、万の興を添ふるわざなり つれづれなる日、思ひの外に友の入り来て、とり行ひたるも、心慰む 馴れ馴れしからぬあたりの御簾の中より、御果物・御酒など、よきやうなる気はひしてさし出されたる、いとよし 冬、狭き所にて、火にて物煎りなどして、隔てなきどちさし向ひて、多く飲みたる、いとをかし 旅の仮屋、野山などにて、「御肴何がな」など言ひて、芝の上にて飲みたるも、をかし いたう痛む人の、強ひられて少し飲みたるも、いとよし と続けて行く。 何だよ、兼好さん、春夏秋冬、飲むんじゃね~か、『毒をもって毒を制す』な~んて格言のあるしね~。 福沢諭吉の言葉、『天は人の上に人を造らず。人の下に人を造らず』には、『平等を自然の法則とするのは正しくない。自然は一つとして平等なものを作らなかった』(ヴィーヴナルグ=フランスのモラリスト)をぶつけている。 『旅をしない人間は惨めな人間だ』(モーツワルト)vs『旅は愚者の楽園に他ならない』(ラルフ・エマーソン=アメリカの思想家) エマーソンは、『どんな芸術家でも最初は素人だった』とか、『貧しさは貧しいと感じるところにある』とか、『我々は一人で世の中を歩いている。 我々が望むような友情は夢であり、寓話である』などと、短い言葉で語るひと。 『人真似、猿真似はやめておこう。真似では勝利は得られない』(井深大=ソニー創業者)vs『素晴らしいアイデイアを盗むことに、われわれは恥を感じては来なかった』(スティーブ・ジョブス=アップル創業者)。 『理性はこの世でもっとも公平に分け与えられてるもの』(デカルト=フランスの哲学者)vs『人間は、もし狂っていなければ、別の仕方で狂ってる、必然的に狂ってるものである』(パスカル=こちらもフランスの哲学・数学者) 対峙させてる言葉はおよそ五十組、「フ~ン」などと感心して読んでて、まだ途中の本ですが面白い。 エジソンvs岡本太郎 成城の居酒屋産『けんどんや』」のママさんから頂いた本、どちらにも軍配を上げられない勝負が続きます。
by molamola-manbow
| 2012-07-02 09:23
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