人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Hey! Manbow

heymanbow.exblog.jp
ブログトップ
2005年 04月 22日

庭の児雷也

二階の窓から見下ろすと、ベランダに通って来る4匹の野良の中の一番の若輩、アメリカンショートヘアーの雑種(多分)が、全身に緊張感をみなぎらせて固まっていた。
「ン・・・?」と思って眺めていると、植木の根元に向かって腰の引けた状態のネコパンチを繰り出した。
何か居るらしいのだけれど、植木が邪魔をし、日陰に入っていることもあってよく判らない。
そうこうするうちに、植木の根元がノソッと動いた。
ガマ蛙(蝦蟇蛙)である。握りコブシほどの大きさのガマだった。
ノソッの瞬間、大きく後方へと跳んんでいた野良が、また腰を引きながら近づいてチョッカイを出し始めた。
今度は何をされても石のようだ。ピクリとさえ動こうとしない。
そうだ、写真だ、と思い付いたのは、野良の体から緊張感が明らかに抜け、飽き始めたことが判ってからだ。こちらも飽きてきていた。
この時間のロスがチャンスを逃させた。
カメラを持って庭に降りてみると、野良はおろか、石のように固まっていたガマさえも消えてしまっている。カメラを探すのに少々手間取りはしたものの、大目に見積もっても2、3分、この間にかき消すように消えたのである。
さては児雷也!と、昔々、この一帯を回っていた紙芝居の主人公と、庭のガマがダブった。庭の児雷也_d0007653_2129866.jpg
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これまでに、いったい何匹、庭にガマ蛙を放しただろう。
啓蟄過ぎの暖かい雨の夕方とか梅雨の頃、下校途中の女学生が裏通りで大騒ぎをしている。あまりにも煩いので何事かと外に出て見ると、道の真ん中に鎮座するガマである。
外出から帰った連れ合いが、玄関に駆け込んできた場合も同じ。
その度に捕まえて庭に放してきたから、トータルすると10数匹にはなる。
それなのに、庭で姿を見ることはない。
庭からの脱出には1mほどの高さから舗装道路にジャンプする勇気を必要とする。
勇気を奮い起こしてジャンプしたとしても、ご先祖様が繁栄した楽園の湿地は、埋め立てられて跡形もない。
水練の場としたきた北沢川も、烏山川も(二つの川は三宿の近くで合流し、目黒川と名を変える)、真っ暗闇の暗渠だ。
  それでも行くのかボヘミアン
  自由を求めてガマ蛙
  たとえ醜いからだでも
  心は錦のガマ蛙
ーーーーーと考えていたところに現れた1匹、そして鮮やかな消身の術!
これにはホッとする気持ちになれた。
庭の児雷也_d0007653_102253.jpg居て呉れたのである。
児雷也に教わった妖術を駆使し、うまく姿を隠しているだけで、庭で生活しているのである。
1匹だけなのか、2匹なのか、3匹なのか、4匹なのか。もっともっと多いのか・・・・

 ▼児雷也(ジライヤ) 大蝦蟇を操る妖術で神出鬼没の活躍を見せる義賊。明治元年までの天保年代約30年間に、4人の作者によって43編の物語が書きつがれた。蛞蝓(ナメクジ)の妖術使い・綱手(ツナデ)をめとる。宿敵は大蛇(オロチ)使いの大蛇丸(オロチマル)で、グウ・チョキ・パアのじゃんけん同様に蝦蟇・蛞蝓・大蛇が三すくみになる。
物語は大蛇丸に殺された児雷也が中国伝来の秘薬により、甦ったところで終わっているのだそうだ。書き継ぐヒト、居ませんか?

by molamola-manbow | 2005-04-22 16:35 | 犬・猫・蛙に動植物


<< 古式に非ざるこしき焼酎      進行老眼難読書 >>