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2009年 03月 11日

  富浦から浦賀へ

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「オメ~さんは、昨日の追悼式にも空から参加して呉れたんじゃなかったかい?」
東京湾の奥底から吹き付ける真北の風をスタボーに受けて、 H i n a n o は上り角ギリギリのコースをカツ飛んでいた。
メーンとジブをギリギリまで絞り込んだクローズドホールの帆は、吹き付ける 1 5 メートルの風を増幅させて後方に流している。
その後方気流の強い流れに優雅に乗って、一羽のカモメが富浦から従っていた。
「アレ、耕ちゃんじゃないかい?」
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         ミネさん                                             ツ~セさん
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そうだったのかもしれない。
目的地浦賀港の出口を塞ぐ"アシカの岩礁"を H i n a n o がかわすのを見届けると、安心したように大きく上空を旋回して、モヤイを解いた富浦港へときびすを返した。

最後のクルーズ、最後の回航に、 H i n a n o のコックピットには 9 人のクルーが座っていた。 
語り明かして日の出を迎えたい気持ちを無理に押さえて、前夜は眠りについた。
語り残しは頬を切る寒風のコックピットでも続いていた。
                                                         高木さん
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         森さんとリキちゃん                                       シュンちゃん   
九十六年三月四日、 H i n a n o はオークランド(ニュージーランド)のリガード造船所で生まれた。                             
その進水式当日に落水者が出た。
ナナ、なんと第一号は H i n a n o を設計した林賢之輔先生
スタンパルピットを乗り越えて、ラダーの具合を覗き込もうとした途端だ。
掴まったハシゴがロックされていなくて、スローモーションを描いてドボ~ンした。
トイレが詰まってスキッパー耕ちゃんが糞まみれになったお話。
d0007653_10373536.jpg真水を汲みに出た故・笠原さんを置いてけ堀にして出航し、両手にバケツでポカーンと佇む人影見つけて「アッ、一人忘れてた」。
ナイトクルージングの太平洋上、草臥れ果てたツバメが一羽腕に掴まりに来て、ラット操作が固まった強面の徳ちゃん。
遠征を掛けた沖縄から、トカラの島伝いに北上した話しの数々、ニュージーランドからの回航、グアムまでのレース・・・・・。
初代の H i n a n o Y A M A H A 3 5 』を駆った屋久島遠征で遭遇した潮岬の渦巻く濁流。
ロッククライマー 3 人を絶海の孤島・孀婦(そうふ)岩に送り付け、ふたつの雑誌に取り上げられた冒険談。
「レートゆるくしてやったのに」(林先生談)勝てなかった K E N N O S U K E C U P ・・・・・。
そしてその反論、「Hinano 向きの風が吹きやがらね~。今日みて~な風が吹いたらな~」。
      マッちゃん              前夜の続きは、最後のクルーズが終わって、ヴェラシスに H i n a n o をモヤった後も尽きることがな  
                         かった。                                                          
                           

九日午前九時三十分ジャスト、富浦港を離岸した H i n a n o は、大房岬の蔭で最後の帆走に移った。
「メイン準備いいか~」
d0007653_11575826.jpgラットを握るミネさんの声には、僅かな震えを感じた。
「ヨ~シ、揚げ~」の声が重なる。
スルスルッとマストを駆け上がったセールは、残り五センチを余したところでダダをこねて止まった。
これが最後のセーリングだということに、オマエも気付いたのかい?
大丈夫だよ、イヤイヤなんかするな。
真っ赤なセールに替えられても、船体濃紺に塗られても、遠く遠くを走っていても、オイラたちは直ちにオマエを見分けられる。
必ず声掛けてやるから心配は要らね~。
ウソのように H i n a n o のダダは収まった。
                                                         フ~ちゃん
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前夜、バウ・キャビンに寝ていたオイラの頬に、結露の一滴がポタ~ンと落ちた。
泣いているのかい?、と思ってしまう。
全てを擬人化してしまうんだから、考えている以上に辛いのだ。
H i n a n o よ、耕ちゃんはオイラ達より、もっともっと辛いと思ってる。

でもだ、別れと思うな、新たな出発だよ。
男はみんなグラマラスな美人が好きだ。
きっとまた可愛がってもらえる
サヨナラはいわね~、再会したら、また舷側撫ぜ撫ぜを約束する。
           m a n b o w
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これは耕ちゃんへの報告だ。
林先生はこの日も H i n a n o をヴェラシスに出迎えて、モヤイを取って下さった。
おまけに松ちゃんとオイラのアッシーまでして引き受けて、横須賀中央駅まで送って呉れた。
助手席のフ~ちゃんは、もっと遠くまで運転して貰った筈だ。

そうそう、キャビンをカラにしたら、走ったよ~、ビュンビュンだ。
K E N N O S U K E C U P も、第一花丸もメじゃあね~
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by molamola-manbow | 2009-03-11 12:20 | ヨット | Trackback(1) | Comments(9)
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Tracked from あんつぁんの風の吹くまま at 2009-03-12 00:25
タイトル : いつでも夢を
 通勤途中のカーラジオから、「いつでも夢を」の歌が聞こえてきて、思わず音量をあげてしまいました。けれどもそれは橋幸夫と吉永小百合の歌声ではなく、若い歌手の軽く弾んだ歌声でした。  ブログのある人は「生かされている」と言っていましたが、私は何時からか「見守られている」と強く意識するようになりました。それは、亡くなった母や父だけでなく名も知らぬ英霊からも見守られているように思うのです。  そしてまた一人、私を見守って下さる魂が新たに加わりました。久我耕一さんの魂です。林賢之輔さん設計のヨッ...... more
Commented by つーせ at 2009-03-11 14:02 x
そうです、そうですとも!
あのカモメは耕ちゃんでした。
ずっと、ずーーっと一緒でした、最後の航海ですものね~。
そして、そして、せっかちコーチャンは次なる乗り手を早々に見つけたかもしれません。
外洋に出るべく誕生したHINANO。
その艇魂を生かしてくれる主人の元へ早々に嫁ぐことになるかもしれません。
もしかしたら。。。。。
Commented by molamola-manbow at 2009-03-11 17:14
つーせさん、参加できなかったクルーもおいでだ。
時間調整して葡萄屋辺りで陸ミーティングやりましょう。
Commented by 仙人 at 2009-03-11 22:38 x
部外者ですが・・最後の帆走・・しっかり読みました。
始めてちゃんとみるお顔ですが、なるほどな・・と思いました。
この友情は板子一枚命運を共にした方たちにしか生まれないものですね。艇の事には何とも言えない気持ちでいっぱいです。
Commented by antsuan at 2009-03-12 00:27
やっぱり見守ってくれているんですね。
トラックバックいたしました。
Commented by molamola-manbow at 2009-03-12 10:18
板子一枚は大袈裟です、仙人さん!
極めて自己中心の男ですから、玩具取り上げられちまった方が悔しくて!
友達甲斐のない、アハハの男です。
Commented by molamola-manbow at 2009-03-12 10:19
antuanさん、三日間海にいましたけど、しょうもないことに心動かされる毎日・・・・・。
ギャレー前の床に寝たのを含め、八人泊まると結露もひどくって!
Commented by birdscafe at 2009-03-12 23:45
このカモメだったんですね。

manbowさん、素敵な方ばかりで、うらやましいです。
Commented by つーせ at 2009-03-13 07:26 x
陸ミーテイングの最初はコーチャンの棲む!?我が家でやって頂きたいです。
形見分け?も兼ねて。
その日取りを決めるための葡萄屋ミーテイング?
??印が連なりましたが、わたしとしては初の「コーチャン不在個展」が終わらないと落ち着きません・・・・・。
ず~~~~っと落ち着かないかもしれませんが・・・・。
Commented by molamola-manbow at 2009-03-13 17:25
bird'sさん、八丈島を訪れた一昨年の夏のシュンちゃん、高木さんもこのクルーズには参加してました。


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