2010年 10月 30日
豆名月の夜、西彼杵(にしそのき)半島の北端・横瀬の船番所を出て福江島南端に舳先を向けた『HINANO』は、ほぼ真後ろからの風をポートタックに受けて走っていた。 6ノット強の機帆走、微妙に角度は違うんだけど、風と同じ方向、九州本土側からうねりが来ていて、コイツに乗ると「サー~ッ」な~んて舳先の波切り音が変わった。 薄雲刷いたベール越しの豆名月だけが残念なナイトセーリング、「スピン向きの風」にも不満はあるけど、そうそう贅沢ばかり言ってちゃ罰が当る。 いい船、いい夜、いいメンバーのクルーズ、『HINANO』だってサーフィン楽しんでいるんだ。 自然相手のお遊びは、その時々の大自然に従うのがルールです。 「センチョウ、センチョウ」 眠りを妨げられたのは、未明にはまだ間のある三時過ぎ。 「ココじゃないよ」と応えたついでに時間確かめ、「(ワッチ交代まだ)あと三十分」と再び寝に入ったその時刻、コックピットでは『オールハンズ!』の大声張り上げて全員叩き起こすべきアクシデントが起きてました。 マストに吊り上げたメインセールの下部をピーンと張る役目を担い、マストとグースネックで繋がってる丸太のようなブームを、下から引っ張っているブームバンク(→→)。 コイツは常に跳ね上がろうとするブームを固定すると同時に、セール角を調整するハンドル役も担った重要装置、コックピットに埋め込まれた左右にスライドする『メインシート・トラベラー・トラック』(↓↓)と繋がっています。 その、二つの装置を繋ぐ留め金、シャッフル(赤いテープで巻いてある)がとんだのです。 とんだと言うより、日本刀で切り落としたように、ステンレスで出来た丈夫な金属がスパッと切れたのです。 うねりに乗っかって波頭から谷底へと滑り落ちる際に、『HINANO』の方向が変わって起こったワイルドジャイブ。 右から左へとおおきく首振ったブームの衝撃で切れたのです。 暴れるセールと長くて太いブーム! コイツにドーンとやられては、アタマカチ割られて素っ飛びますから、舳先を風上に向け、セールを降ろし、引っ掛けたロープでもって、『逆Vの字型』にブームを固定してやらなければなりません。 口で言うのは簡単だけど、ウサギ跳ぶ海と、できることなら真昼の事故であってほしい真夜中です。 manbowは「あと三十分」の白河夜舟の最中でしたけど・・・・・。 乗員総計十人の内、頼りになるクルーは四人だけ。 私を含め、その他大勢は有象無象組ですから、『オールハンズ』じゃなかった方はベストだったのかも知れません。 ウロウロされちゃあ、邪魔になるだけのクルーですから。 様々なアクシデントを経験し、ソイツ乗り越えて行かなければならないのもルールです。 ソノ様々を「数多く経験したが勝ち」なんですよね~、クルーは。 乱暴な言い方ですけど・・・・・。 写真の応急処置でメーンセールを張り、予定の日程もほぼ狂いなしに消化です。
by molamola-manbow
| 2010-10-30 09:24
| 長崎・HINANO
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