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2012年 01月 15日

図書館の廃本

図書館の廃本_d0007653_8245193.jpg事務机四卓を『田の字』型に並べて、ドドーンと本が積み上げてあった。
横には『ご自由にお持ち帰り下さい』とあって、『ただし、ひとり四冊まで』の但し書き。
熊本との県境に近い鹿児島県・伊佐市(旧名・大口市)、旅の通りすがりに立ち寄った市立図書館の張り紙です。

詰め込めるだけ詰め込めるスーパーのジャガイモと一緒にしちゃあ不味いよな~、偶然の通りすがりだもん。
本って結構重いからな~、荷物が増えるのは考え物だ。
そんなこと考えて、一冊だけ頂いて帰った。
二箇所に図書館印なんかが打ってある『インディアナポリスの鮫』(読売新聞刊)
刻印の日付からして、まだ二十年も経っていません。
本としてはきわめて短い命だから、ハードカバーも中身もまだピッカピカ。
頂いて帰ることにした理由、このピッカピカにもありました。

図書館の廃本_d0007653_8415986.jpg『インディアナポリス』とは広島と長崎に投下された二個の原爆をアメリカ本土からサイパンに運んだ巡洋艦の名です。
任務を終えてすぐ、ハワイ・パールハーバーに帰港する途中で日本の潜水艦『イー58』の魚雷攻撃を受け、撃沈(一九四五年七月三十日)されます。
この史実は映画化もされた。
しかし、百人を超える犠牲者を出した漂流中の鮫の攻撃シーンが残酷過ぎると、上映は途中で打ち切られた。
救命筏上でも階級序列が幅をきかせ、人種差別が行われ、黒人水夫は捨て置かれて次々に鮫の餌食になるんだ。

著書はそんな史実をベースに展開する。
終戦直後に起きた二つの殺人事件、原爆輸送に携わり、かろうじて助かった黒人の原爆研究員と潜水艦『イー58』の乗員が同じ場所(広島)で殺された訳を、半世紀後に明らかにする筋立てです。
プロットはとっても凝ってるんですけどね~。
名探偵が崖の上なんかに関係者を集めて、「犯人はお前だ!」と名指しするTVドラマ。
TV画面に蔓延中の推理ドラマとそっくりなんですよね~。
四日をかけてようやく読み終えた本、頂いてきた経緯さえなきゃあ、途中で投げ出したと思います。
ピッカピカのまま廃棄処分、判るな~。

by molamola-manbow | 2012-01-15 10:12 | 読書


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