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2016年 03月 30日

  五億三千万年も生き続ける生物  

磯を歩けば北の果て稚内から珊瑚の海の沖縄まで、日本中の潮間帯で岩にこびりついている姿が普通に見られる。
打ち上げられた木材や雑多な浮遊物にも、クジラやタイマイ、大型魚類等の海洋生物の体にまでくっついてる。
海が職場の漁師さん、休日には白帆を上げてハーバーを出て行くヨットマンにとっては、これほど厄介な生物はない。
船底にへばりついて行き足を鈍らせるし、網目が見えなくなるほど定置網を覆ったりもする。
生物学上は貝の仲間ではなくて、蟹や海老と同じ『甲殻類』に分類され、フジツボ亜目という一つの柱を打ち立てている生物。
しかも生きた化石・シーラカンスなどは遠く及びません。
海の頂点にアノマノカリスが君臨してたカンブリア紀から命を繋いで今日まで、 5 億 3 千万年も生き続けている生物なんだと申します。
アワビの殻にへばりついているヤツ、その横で握りこぶし大に密着してるヤツ( ⇩ ⇩ )のこと。
漢字表記は『藤壺』、と思っていましたが、『富士壺』と書くのが正しいんだそうですよ。
  五億三千万年も生き続ける生物  _d0007653_7364138.jpg
「こんなに面白く、生き物を解説した書が今までに有っただろうか?」と思いつつ隅から隅まで読んだ。
岩波書店の『フジツボ』、ウェールズ大の海洋生物学科卒の"フジツボ博士"が愛情をこめて綴った倉谷うらら(海洋生物研究家)の著書、『岩波科学ライブラリー』シリーズのひとつです。

真鶴半島突端の『遠藤貝類博物館』を訪れて貝の造形の美に魅せられた連れ合いの持ち物、フジツボも貝類と思って購入したのでしょうが・・・・・。

本題のフジツボ、何にでも、何処にでもくっつくモノだと思うでしょ。
でも物凄く好みには煩くって、クジラにくっつくのは六種類だけ。
ウミヘビの尻尾、イルカの歯、ウミガメの首など、種類毎に住み分けを行っている。
イソギンチャクを背負ったヤドカリの殻にしか付かないヤツとか・・・・・。
宿を貸す生物達もフジツボを上手く利用して生きているようです。
配偶者を巡るオス同士の争い、クジラはフジツボで武装した箇所を意図的にぶつけ合って勝負を決めるんだと申します。
何処にでも付着するフジツボ接着剤の威力も凄くってテフロン加工のお鍋にもくっついちゃう。
コイツを解明できれば、接着剤の世界に一大旋風が巻き起こるに違いありません。
大人も子供も楽しめる本、ページの隅にはフジツボの一生を綴ったパラパラまで付いてます。
  五億三千万年も生き続ける生物  _d0007653_1026436.jpg


by molamola-manbow | 2016-03-30 10:47 | 読書


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